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ギャラリーと暗室バーPaper Pool [暗室]

東横線の祐天寺駅近くにギャラリー&暗室&バー「Paper Pool」という粋なお店が昨年開店した。

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ギャラリーを併設しているバーは東京では珍しくはないけど、暗室まで併設したバーというのは世界でも他に例がないように思うのだけど。店主の写真好きから企画されたわけだが、銀塩モノクロ写真製作をする人にとっては感動的な店である。
高いカメラを購入しても写真が上達することはないのだけど、モノクロ銀塩写真の場合は、暗室の使いやすさ如何で作業に対する意識が変わってくる。あ、お座敷暗室が悪いと言っているのではないですよ。ただ、個人的には暗室作業がやりやすいかどうかで写真製作に対するモチベーションが変わってくるような気がしているわけ。
日本の住宅事情、さらにはデジタル化が進んだいまでは、個人が暗室用のスペースを確保するのはタイヘンだけど、ここの暗室で写真を焼いて、作業の後にプリントを見つつ一杯グラスを傾けるという芸当もできてしまうのだから、オトナの写真趣味人にとっては至福の店なのだなあ。

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うちの仕事場は東京の西方向にあるので、もう少しここが近ければなーと思うんだけど、そうなると入り浸りになり、うちの仕事場にある狭い暗室存続の是非が問われかねなくなる(笑)。
店主の狐塚英雄さんのブログはココ。写真に限らず、文学や音楽についても博学であり楽しい話ができます。ちなみに店主は料理上手ですからアテも素晴らしい。

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貸し暗室の設備は決して侮れないですよ。ドライマウントプレスまで用意されているんですから、バライタのプリントもできちゃいます。敷居の高い店ではないから、お酒と写真好きの方、お酒飲まなくても、写真好きな方に私からオススメしておきます。写真展を見るだけならタダですよー。
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フォコマート [暗室]

 先日、ちょっとした取材を受けて暗室の話になった。同業者にいまだに暗室作業をしていると言うと驚かれることがあるが、自分としては日常の作業なんでそんなに驚かれてもなあと思ってしまう。
 仕事上では暗室は不要なんだけど、アサヒカメラの「銀塩光遊学」の連載もあるし、私的にはフィルムカメラを使っているから、暗室廃止にはなかなか踏み切れない。趣味化していると言ってもいいかもしれないんだけど。
 写真を引き伸すのに欠かせないのが引き伸ばし機だけど、たぶん私はフォコマートがなかったとしたら、暗室は閉めていた思う。それだけ気に入っている。
 一部のライカレンズにうるさい人にはフォコターの味がいいんですかねえと訊かれたりすることもあるが、フォコマートは自動焦点(あえてAFとは呼ばない)なので、作業効率が圧倒的によいことが理由としてかなり大きい。階調の再現もまた魅力的。本当はもう一台別の引き伸ばし機を追加して、4×5判あたりまでの引き伸ばしもやりたいのだけど、そうなると狭い暗室はもう身動きがとれなくなる。
 特定のカメラによってしか撮影できないモチーフは少ないと思うけど、ことモノクロの銀塩写真に限ってはフォコマートでしか再現できない階調があるような気がする。だからどうしても外注できないわけ。フィルム現像からの一連のワークフローを確立してしまったこともあるのだけど。残念なのは写真の内容がフォコマートに負けていることなのだが、これは今さら如何ともし難い。
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暗室のフォコマートIIcのレンズ部分。使用歴は20年近い。購入時もまわりからは正気の沙汰ではないと言われた。当時の2400wクラスの大型ストロボより高価だった記憶あり。初期タイプのためか、35ミリ判用はフォコター6センチF4.5で、中判用はVエルマー100ミリF4.5。ハーフサイズから6×9判まで対応する。専用のガラスキャリアはホコリと湿度によってニュートンリングの発生が難だけど、35ミリ専用の特注品のキャリア(ちょっとしたカメラ1台分の価格だった)があって、これは片面ガラスなのだ。自動焦点調整は一度したきりだけど、再調整の必要を感じないほど精度が高い。これは素晴らしい。
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フォコマートIIcとV35。IIcは集散光式、V35は散光式伸ばし機。ネガサイズとネガの調子と気分によって使い分けることもあり。
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フィルム現像 [暗室]

 溜まった撮影済みモノクロフィルムの現像をはじめてみる。ちょっと油断しているとゲリー・ウィノグラントみたいになってしまうのではないかと不安になるが、よほどのことがない限り外注はしない。撮影時の状況がわかっているのは私自身だから現像の加減によって最良のネガが出来るのではと信じているからである。
 フィルムも現像液の種類も減り選択の余地が少なくなっているので、今使用している現像液はコダックのD-76とT-MAXデベロッパーのみであるが以前は色々な組み合わせをあれこれ試した。もっとも種類は少ないとはいえ、本気でやろうと思えば多様な組み合わせができる。
 そういえば遅まきながらiPhoneのアプリ「Massive Dev Chart Timer」をDLして、あれこれ見ている。もちろんDLしなくても、HPから確認ができる。
 膨大な種類のフィルム(35ミリ、120、シート別にも分かれる)と現像液の組み合わせ、希釈率による現像時間がわかりタイマーで表示されるからたしかに便利である。ただし残念なのは原則として現像液温が20℃しか選べない(一部に例外がある。また液温度の対応表はある)こと。
 それにこれは推測だけど散光式引き伸ばし機使用を前提としているのだろう。一様に現像時間が長いようだ。つまりネガの濃度がかなり上がる。うちには散光式の引き伸ばし機のフォコマートV35があるからそれを使えば良さそうなものだが、それでも濃すぎるのではないか。結局、初めて使うフィルムの場合はMassive Devをみて、そこから推測してテスト現像する。何も情報がない場合には便利である。もっとも本来は現像タンクの種類によっても現像時間は変わってしまうし、個々の好みというものもある。あくまでも参考程度と考えるべきであろう。
 興味がない人には、なんと面倒なと思われてしまうかもしれないけど、フィルム現像だけを行うなら暗室は必要ない。1本あたりの現像コストは外注よりかなり低く抑えることができる。プリントは優秀なオペレーターがいるラボならデジタルプリントでも高品質な写真を制作できる。うるさいことを言わずに銀塩写真も選択肢が広がったと考えるべきだろう。
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Massive Devの画面。トライXをISO400-800設定。D-76 1:1 20℃の組み合わせで試してみる。9分45秒というのはISO400設定で撮影した場合の私のレシピより1分45秒長い。ISO800設定で十分にいけそうな現像時間だ。経験からすると、ほとんどの条件から2割ほど短い時間処理すれば間違いなさそうである。
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