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CAMERA fanのニコンF2 [銀塩カメラ]

 ご覧いただいた方もいると思うけど、玄光社のウェブサイトCAMERA fanカメラアーカイブ」を更新してニコンF2の巻となった。ここでもバカ面さらしてしまったので、ちょっと後悔はしているのだけど。
 ニコンF2に限らず、70年代あたりのフィルムカメラ製品については熱い“研究者”も多いと思うし、今回に限らないけど私のお話は資料的な価値は薄いことは十分自覚した上での記事である。例のごとく、いま実際使うとどうなんだよ、どんな面白いことがあるんだよ、ということに重点を置いているつもりである。
nikonf2as.jpg
 F2はFと異なり、自分の人生のカメラを意識した、あるいは写真をはじめた時間軸と完全にマッチングしているので単なるクラシックカメラの興味とか趣味の領域にあるものではない。うちには数台のF2があるけどみな元気でいる。ニコンは意外といっては失礼だけど、わりと長期の放置プレイにも耐える。10数年前にほとんど死蔵されていたニコンS2を入手して、シャッター速度の検査に回したことがあるが、最高速を除けば実用レベルの値だったことに驚いた記憶がある。こういうところからもニコン堅牢性への神話が生まれるわけだ。
 記事にも書いたけど、「F2フォトミック」がF2のシリーズの中でも王道的な機種であることは明白。電池室がファインダーではなくて、ボディ側に設けられていることもメーターを内蔵するモデルを基本とするという思想があるからであろう。でも、逆にいうとTTLメーターなぞ、その当時のほとんどのプロはアテにはしていなった。私自身も学生当時から幾人かのプロのアシスタントをした経験があるが、中に数名のF2の愛用者がいた。でも、誰もフォトミックのメーターは使うことはなく、現場ではアシスタントがミノルタのフラッシュメーター持って、駆けづり回る必要があった。あたりまえなんだけどね。
 けど、私はバカだから素直に「TTLメーターを使わないのですか?」とアシスタントについたカメラマンさんに訊いたことがあるが、「頼りにならん」と一蹴されました。
 とくにアマチュアのみなさんには断っておくけど、これはフォトミックのメーターの精度が悪いということじゃないですよ。とくにカラーポジフィルムを使用することが前提のカメラマンには、TTLメーターの示す値は参考程度にしかならず、光を読むことを放棄したような無難な露出になるのがイヤだったからじゃないかと思う。このあたりに“適正露出”への写真家の考え方というのが出てきてしまうのだが、この話をはじめると長くなるのでやめておくけど。
 世間的にはゲテモノといわれるEEコントロールユニットも、その露出の正確さ云々ということではなくて、メカニズムの凄さというか、きわどい感じというか、その無理矢理さ加減が好きなのであり、実際に外に持ち出して撮影したことはほんの数回しかない(笑)。でもだいぶ以前のこと、古いカメラ雑誌をみていたら、動物写真家の田中光常先生の機材の中に、このEEコントロールユニットが出てきたので驚いた記憶がある。ホントに使っていたプロがいたんだ!
 書き加えることができなかったけど、F2のシャッター音は大きく、ある意味では官能的すぎて、町中のスナップに持ち出すには躊躇してしまう。どうせ音が大きいならモータードライブMD-2をつけて、あのけたたましい作動音を鳴り響かせて女の子でも撮りたいところだが、さすがにフィルム使ってポートレートをお願いします、という依頼仕事などありはしない。
 だから月刊「カメラマン」の連載『ボケてもキレても」で今度は無理矢理使ってやろうかと画策しているところだが、その効果のほどは当然だけど誌面の作例の内容には現れないわな。
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ミノルタα-70 [銀塩カメラ]

 調子が悪くなった外付けのHDを交換したのだが、置き場所の裏側からミノルタα-70が出てきた。行方不明になっていたカメラがひょっこり出てきたので嬉しい。
 廉価カメラ好きの私としては、この手のカメラは抑えどころなのだが、α-70はフィルムからデジタルへの転換点を本格的に迎えつつあった時期だったので、さすがの私もなぜにいまこれをと思った記憶がある。購入した経緯はまったく忘れているが、まあ気まぐれであろうね。
 本機はミノルタ名で最後の銀塩一眼レフというカメラなのに、誰もそうした価値を認めていないから可哀想なカメラである。カメラの底をみると「コニカミノルタ」社名がついているから、コニカミノルタ最初で最後の銀塩一眼レフかもしれませんね。
 α-70はとりたてて機能的な特徴ってのはないのだが、私の好きなα-SeweetIIの後継ということになるのだろうか。なぜこういうカメラを作ったのかなあ。シャッター音とか作り込みは安っぽいけど、ストロボ内蔵のわりにはペンタプリズム部のデザイン処理が巧みである。小型軽量なことも嬉しい。撮影モードの切り替えも瞬時にできてよい。AFの測距点もけっこう多いのね。真ん中しか使わないけどさ。たぶんペンタミラー方式だと思うけど、ファインダーの見えはまずまずで、このあたりがいかにもミノルタっぽくていい。基本はボディ内モーターでAF駆動するカメラだけど、DMF(ダイレクトマニュアルフォーカス)も採用されているのはいいですね。α-9にはないのにさ。
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 ただし、取り説がないので各ファンクションの役割や設定がよくわからん。デジタルカメラなら根気よくメニューの階層を探っていけばわかるはずだけど。ま、永遠の謎にしておいても撮影には支障はないし大きな問題にはならんのです(笑)。
 たしか、同時期に出たコニカミノルタα-7 DIGITALと一時共用して仕事にも使っていたことを、今、こうして書き散らかしていて思い出したが、もうα-7DIGITALのほうは記憶すらあやふやになりつつある。なにかムックをお手伝いしたような記憶があるが、それも探す気にもならない。
 ご存知αマウントのシステムはコニカミノルタの後にソニーに引き継がれたのだけど、私の中ではコニカミノルタまではガマンしていたのだが、ソニーとなってからは気持ちの上ではぷっつりと連携が切れてしまった。
 カメラボディは売ってもレンズは売らないと公言はしているものの、ソニーとミノルタではたとえレンズやアクセサリーの相互互換ができても納得せず、αが完全にソニーに移管されると決まった時にミノルタαシステム全体をほとんど処分した。生き残ったのはなぜかこのα−70とα9000とレンズ3本くらいかなあ。これもたぶんモノに固執したというよりも売り忘れたという理由だと思う。あ、でもMFのミノルタシステムは完全に生き残りました。だってソニーとは関係ないし。
 もちろんソニーのαシステムを否定はしていないし、むしろNEXのシステムと今後どう渡り合って今後やってゆくのかということにとても興味がある。もし次回α揃える時がきたら、ミノルタ名レンズなんぞを探さず、ちゃんとソニーで行くつもりでありますよ、ほんとです。
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ライカのモードラ [銀塩カメラ]

 某誌の作例撮影にライカフレックスSL MOTを久しぶりに使った。個人の体験からすると、ライカR3-R7までのワインダーやモードラより、信頼がおけるのはSL MOT、SL2 MOTと、ずっと時代が離れてR8、R9用のモータードライブである。
 R3-R7のワインダー、あるいはモードラは、接点の接触が悪いのかなんなのか時おり機嫌が悪くなり、動作しなくなることもままあり、肝心な時にシャッターが切れないと絶望的な気分になる。またタイムラグもイマイチではないかと。たしか動物写真家の岩合光昭さんもR系はモードラよりワインダーを信頼していると云っていたと記憶しているし、私も同意である。
 フィルムカメラ時代のライカは「電気系統の設計がヘタ」などといわれていたが、R3以降R7までのモデルはご存知のとおりミノルタの血が色濃く反映されている。R3のベースモデルになったミノルタXEにはワインダーやモードラは用意されていない。R4-R7のベースモデルのミノルタXDにはワインダーの用意しかない。逆にいうと、ミノルタの血が入る前のライカフレックスSL MOT、SL2 MOTとライカR8とR9は他社の手を借りなかった分、モードラの設計に対しては一生懸命だったような気がするんだけど、どうなんだろう。
 今のデジタル一眼レフみたいに10コマ/秒とか撮れるカメラと比較すると、SL MOTなど最高3コマ/秒程度とコマ速度が遅いから本気で連続撮影目的で使うようなことはないし、仕事でも今回のような作例撮影以外では使用する機会はない。でも、実際に使用してみると必要な時は必要な装置だったのではないかとも思う。ライカの一眼レフはいずれも小刻み巻き上げができず単体で使うと必ず巻き上げ時にアイピースから目が離れて微妙にフレーミングがズレてしまうからだ。
 ライカフレックス系のモータードライブでいちばん評価したいのはタイムラグが短い点ではないか。メカニカルな連動のためだろうか。ただ、欠点も多すぎるくらいある。とにかく巨大なこと、10メートル先からも聞こえるんじゃないかという大きな動作音。マシンガンか、何かを壊しているような音なのだ。撮影をはじめた最初、モデルさんが飛び上がらんばかりに驚いたのが可笑しかった。
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ライカフレックスSL MOTとモータードライブ。どうやって使うのか悩むような大きさと重さ。別売のグリップを使うと安定はするけど、縦位置で使うといつも指がつりそうになる(笑)。

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CAMERA fanのニコンF [銀塩カメラ]

 銀塩カメラ記事執筆依頼って、忘れたころにやってくる。今回は玄光社が運営しているCAMERA fanなるサイトのカメラアーカイブなるコーナーを担当することになった。私の担当する第一回めは、またかよと思われそうだけどニコンFである。web記事だからモータードライブやファインダー交換の方法などの動画というオマケつき。
 ニコンFというのは自分の生きてきた時代は中学生くらいの時にしかカブらないのだが、活躍している場面はリアルタイムでみている。といっても現場で見た最後は、たしか京都の太秦撮影所に取材で行った1980年代の半ばごろか。スチールカメラマンがニコンSPと共に使っていたのだった。あ、そうか。それでももう30年近く前になるわけだけど、当時でも骨董品扱いだったので、現場で見た時は少なからず驚いた。
 たしか私の装備はニコンF3だと記憶しているが、このカメラマンさんに使用している理由を訊いたところ両機ともにシャッター音が静かだからスチール撮影にはよいと言っていた。当時でも年輩の方だった。この頃からニコンFに熱くなり、けっこうな台数が集まってしまった。いまだに探しているのがフォトミックTNのブラックファインダー(笑)。なかなかいいのがない。
 本題には関係ないけど、デジタルカメラ使うと映画のスチールは以前よりかなり楽に撮れるんじゃないかなあ。WBが自由自在だもの。私はグラフ誌の取材が多かったから、デーライトとタングステンのポジフィルムで、さらに感度違いを用意したから、フィルムは計4種類になって機材だけでも重たいのに、フィルムを入れるバックも用意して、現場でライトの種類と明るさとを見極めながらフィルムを交換していた記憶がある。
nikonf.jpg
 ニコンFのヤバさというのは、これを一度使うともう銀塩カメラはこれ一台だけでいいんじゃないかと思ってしまうことだ。だって機能的にはもうこれで十分じゃないすか。他に何の機能が必要なのだろう。中古でそこそこの程度のものでも、同時期に登場したカメラと比べて、シャッターは精度よく走行している個体が多いような気がする。フルメカニカルなのに素晴らしいことだ。これもFの堅牢さを裏付けているようだ。
 残念なのが、プリズム抑えのためのモルトプレーンが経年変化で腐食してプリズムに悪影響を及ぼしている個体が多いことだろうか。修理会社によっては再蒸着も可能らしいけれどプリズムの腐食は写らないから、程度が軽微なのはしばらくガマンして使ってもいいんじゃないかなあ。
 ブラックボディもなかなかよいのだけど、ノーマルの三角屋根のアイレベルファインダーのクロームボディに単焦点のニッコールオート35ミリF2あたりをつけたFをさらっと肩にかけて浅草あたりを歩くってのは粋な感じしません?
 
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オリンパスペンD3 [銀塩カメラ]

 カメラ雑誌の取材で銀座の某カメラ店に訪れたのだが、企画ネタとはまったく関係ないカメラを入手してしまった。ミイラとりがなんとかというやつである。
 その名はオリンパスペンD3という。説明する必要はないと思うが、ハーフサイズ元祖ペンシリーズのコンパクトカメラである。相場よりかなり廉価(発売当時新品価格なみ)で、レンズ、ファインダーともに驚くほどクリアだったのでつい間違いを犯してしまったのだ。最近はプライベートでは中判カメラでの撮影に関心が偏っているのだけど、ハーフサイズカメラによる撮影も細々とながら続けていて、こういう小さなカメラだと常に持ち歩くことができるのではと企んだわけだ。
 Dはおそらくデラックスの意味で、焦点距離32ミリでF1.7という明るいレンズつきのペンシリーズでの上位機モデルで、この3代めにあたる。Cds素子を使用する外部測光方式のメーター内蔵で、正確な露光調整ができるのがウリということだったらしい。EV値の直読方式だから、レンズ周囲のダイヤルで指針の示したEV数値と同じ数字をレンズ側のダイヤルを使って合わせると、適正露出になる仕組みだが、絞りとシャッター速度は同時に動作する。もちろんそれぞれ単独でも設定可能だけど、往時のユーザーはEV値の概念で明るさによって、おおむねEV値を掌握していたのだろうか。不思議である。
 メーターはとりあえず動いていたけど、もともとフィルムカメラの場合はメーターが示す「無難な適正露出」になるのがイヤで、TTLだって参考程度にしか見ていないから正直なところ精度なんかは重視していない。しかし、不正確でも本来動くはずのものが動いていないと気にくわないものである。
 フォーカシングは他のペン同様に目測設定。焦点距離からみると被写界深度はそれなりに深いから、日中など絞りが稼げる状態では問題はないが、至近距離で開放絞り近くの設定ということになると、ある程度は鍛錬が必要となるだろう。以前の投稿で、とくにミラーレス機用の交換レンズに距離指標がないものが多いことを思わず嘆いてしまったのだが、それとは比べるべくもないけど、この時代のカメラの使い方を知っているからこそ、距離指標の有無は気になる。ある意味では目測を鍛えることのできるカメラだともいえる。
 ペンサイズの大きさに大口径レンズとメーターを組み込むのはかなりタイヘンだったと思う。シリーズ化されたカメラは初号機がもっとも明確な思想を示すと言われるけど、このD3は時代に応じてうまく機能を積み上げ、完成度を高めて成功した希有なモデルではないだろうか。
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ツァイス イコン [銀塩カメラ]

 東京は中野の「フジヤカメラ」のTwitterによれば、カール ツァイスとコシナがコラボレートして作り上げた「ツァイス イコン」と「ツァイス イコンSW」が製造中止になった模様である。
 およそ7年ほどの販売期間だったろうか、残念ではあるが、フィルムカメラの販売数が激減する状況で、よくもまあこれまで発売を継続していたなあと思うのが正直なところだ。
 エプソンR-D1のこともあるからデジタル化への道も不可能ではないと思うけれど、高額なライカM9が好調な販売を続けているようなので、仮に価格が安くても厳しい競争になるのは間違いないところだ。それに、カメラの性格上、フルサイズセンサーを搭載しなければどうしても訴求力は弱くなってしまうだろう。先のことはわからないけれども。
 私は両機のユーザーだが、ライカマウントの28ミリレンズを使用する場合は、ファインダーフレームの見やすさから、ツァイス イコンは必ずと言ってよいほど持ち出していた。以前のミノルタCLEの代わりをしたのである。有効基線長も長いので、正確なフォーカシングができることもよい。機能的には、あまりツッコミどころのなく、ソツがなく出来上がったカメラだと思う。
 ただ、あえて言うとするならライカMマウント互換機としては、逆に突っ込まれる要素がもっとあったほうが話題になったのではないかと今さらにして思うのである。富士のX-Pro1がよい例である。

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ツァイス イコン。とんがった機能はないけど、安心して使えるカメラである。ミノルタCLEが最近怪しくなった個体が増えていることもあり、存在意義はまだあると思う。 

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ツァイス イコンSW。ライカMDをAE化したようなものだ。色違いの3点LED表示でおおよそのシャッター速度がわかるという興味深い機能。ライカMマウント互換機としては唯一無二のもの。
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最後の銀塩カメラ [銀塩カメラ]

 ニコンがF6FM10を、キヤノンがEOS-1Vをまだ現行品(ほんとうは在庫だけで、名目上だけかもしれないけど)としているのは評価してよいことかもしれないが、両社ともにすぐにでもヤメてしまいたいというのが本音であろう。
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 キヤノンEOS-1V。この姿では最近ほとんど使用していない。重たいからね。ご存知1系の元祖的存在のカメラとなってしまったわけだけど、今でも練れたカメラだなあと思う。

 両機が登場したのはデジタル一眼レフの黎明期だったわけだけど、なにかメーカーの心意気を感じたわけで、私などは応援せざるをえなかったわけである。
 ところがだF6の中古などは程度の良さそうなものでも、エントリークラスのデジタル一眼レフより安かったりする。信じ難い事態であり、これを新品で購入しようなどと考えるのはよほど奇特な人ではないか(あ、断っておきますが、私は奇特な人なので。両機とも新品で購入しました。おかげさまでいまだに赤字は解消されておりませぬ)。
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 ニコンF6と復刻のトプコール58ミリF1.4つき。Ai連動ピンがあるので使用にあたってはもちろん制約はない。

 となると、各メーカーともに最後の35ミリフィルム一眼レフは何だったのか、ということが突然気になり出したりする。
 ペンタックスは*istかな。中判に話を広げると67IIなんかも製造中止の報があってからだいぶ経つけど、まだ量販店に在庫があったりしますね。ミノルタはα-70だろうか。たしかMDマウントのほうもX-370sとかがしつこく残っていた記憶がある。このへんのクラスはフォローしていなくて、ちゃんと調べていないが*istとX-370sは所有していたりするんだけど、いまα-70を探索していたりする往生際の悪いオレ(笑)。
 有終の美を飾るというわけじゃないけど、フィルム一眼レフ終焉のころ、2003年あたりに登場したエントリークラスの一眼レフって、外観は高級そうではないけど、機能的にはキヤノンEOS Kiss7、ニコンU2なんかもけっこう気合い入ったカメラなのに意外と評価されていない。これは悲しい。上位機種で評判のよい機能を詰め込んだりして、けっこうな高性能カメラになっているのである。いや、これらのカメラの価値を世間に広めることはないな。このあたりのカメラの良さをわかっている同好の士だけで安く入手して楽しもうじゃないですか。
 オリンパスの最終機はOM-3Tiでいいのかな? 4Tiブラックと共に最後を飾ったのか、もう記憶があやふやになりつつある。OM2000じゃないよね。これらは全部うちにあるなあ。
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 OM-3Ti。TTLダイレクト測光で名を馳せたわけだけど、TTL調光のままで、スローシンクロ撮影できたのは本機だけでした。精度のほうは今となっては語るほどのことじゃないけどね。でも登場時は、スローシンクロ撮影のためだけに高価だったけどかなり無理して購入した記憶あり。

 中判カメラだと、マミヤとフジがまだ頑張っていますが、いつまでガマンできるのかなあ。年末が近づいてくると、来年も「現行機」たちがまだあるのかしらとか思ったりするんですが、どうなりますことやら。
 ま、私に言わせれば、無理してフィルム一眼レフカメラを“新品”でお買い求めになるより、フィルム、銀塩写真を存続させるためには、カメラは中古でいいから廉価なのを買って、そのぶん浮いたお金でフィルム買って撮影して、現像をだして、ちゃんとプリントもしてくださいね、ってのが本音なんですが。どうでしょうか。
 
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ニコンとニコマート [銀塩カメラ]

 フィルムカメラ時代だと一眼レフは階級的にも高い地位にあったと思う。おおよそ中学生なぞには買えないというか、親にもねだれない高価なものだった。でもまあ、私なんぞは親父をダマして一眼レフを手に入れ、それをきっかけとして写真をはじめて、それを間違えて仕事にしてしまい、これまで30年以上経て、なんとかまだ息ができている。これは幸せであろうな。
 それはさておき、型落ちの、とくにエントリークラスの一眼レフの価格暴落というか崩壊は、何か見ていて将来への夢がしぼんじゃうんじゃないかと心配になる。新品なのにコンデジより安くてどうすんだよ、ってこともあるのだ。中学生のお年玉とかで買えるんじゃないかなあ。ま、私自身もEOS KissX6iとか使っているから、機材的には後輩の方々に夢を与えることができるようなカメラマンじゃないけど。
 中古フィルム一眼レフも、ものすごく廉価だけど、まだ存在感を残している。だからすでに所有しているカメラでもさらにムダに購入し数を増やし後悔するわけだけど、自分の中の精神的な充足感(あくまでも趣味的なものね)からすると納得できたりするのである。
 諸先輩方から「ニコンF」が欲しかったけど結局は廉価版の「ニコマートFTN」しか買えなかったよ。という話を聞かされることがある。もっと先輩になると、ライカが買えないのでキヤノンだとか、レオタックスを代わりにした、みたいな話も出てくるけど、往時の所得水準から考えると、メーカーとか機能とかに関係なくとにかく“カメラ”と名のつくものはすべて高かった。
 少し以前にニコマートの価値をカメラ的にもアイテム的にも見直してみるという、例によって、意味もなく、つまらないことを個人的にはじめ、各種ニコマートをコンプリートした。もちろん今の時代だから、総額は大した金額ではない。
 ニコマートは大ヒット商品だけど、もし仮にニコマートのエンブレムがニコンだとしたら、もっとバクハツ的に売れていたのではないかと思うことがある。
 系列の絞り優先AEを搭載したニコマートELの最期が「ニコンEL2」にはなったが、ニコマートFT系列は最期はニコマートFT3で終わる。ニコマートのままで生涯を閉じたのだ。ニコマート名にこだわったのはいつかはニコン手に入れるのだという夢と希望をユーザー持たせるための戦略だったのかどうか。でもニコマート現役当時だってけっこう高かったと思うぞ。
 いまの中学生が型落のエントリークラスのニコンデジタル一眼レフを廉価に入手して、いつかはニコンD4を手に入れるのだと夢を描くのかどうかは知らない(もっとも一眼レフが生き残るかどうかもわからないし、中学生がフラッグシップ機を入手できるころにはD8くらいになっていそうだ)けど、だったら廉価な一眼レフはニコマートに名前を戻して、「ニコマートD3300」とかにしたほうがいいんじゃないの。意外としっくりくるじゃない。あるいはニコン1のようなミラーレス機で考えてみるとかさ。で、見ていろ、いつかはオレも正統派の「ニコン」にするぜ、とか思ったほうがよくないすか?
古くさい話で却下?あ、そうですか。すみません。
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ニコマートFSのボディ上部。はいこういうカメラは知らないという人が正常です。ニコマートFTからTTLメーターやらミラーアップ機能やらを省略したさらなる廉価版。でも売れなかったんでしょうね。今はわりと珍品な部類に入る。ニコンFが基本的にメーターなしなのに対して、ニコマート系はTTLメーター内蔵でしかも安いっていうアドバンテージがあったから売れたのだと思うけど、メーター省いたら売れるわけないよなあ。専用の外部連動メーターとかも用意されていないし。でもニコマート各種の縦走りコパルスクエアシャッターのバシーンという音は個人的に好きですね。
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ライカR [銀塩カメラ]

 銀塩カメラ辞典でもひとつの項目になっているけど、ちょっと目を離したスキに、放置プレイとなってしまうのがライカRたちである。ライカの一眼レフなんて、と思う人はとても多いし、実際にMシリーズよりもユーザーは少ないと思うのだが、Rシリーズの晩年のころはMが売れているのは日本だけで韓国も中国もRはかなりの数が出ていたとライカ社の人から聞いた。個人的にもライカの一眼レフはライカフレックス系から気にかけているのでもちろん嫌いじゃないですよ。あ、そうかライカの一眼レフは、いまS系のカメラのことを言うのかな。
 ライカRシリーズはもちろんカメラボディも現行ではない。マウントアダプターでレンズ資産を活かせばいいではないかと言われるかもしれないけど、なんか違うのである。違うというのはボディーと専用レンズが一体化した時に感じさせる総合的な、あるいは精神的な“何か”なので、単に写りに個性があるからとかいう理由だけ、ライカのレンズだからと、それだけで満足できないわけなのだ。
 だから、少し前のことだけど、まわりからは正気の沙汰ではないと言われながらも、ライカR8、R9用のデジタルモジュールRを購入した。
reicar9.jpg
センサーはAPS-Hサイズで、1000万画素の画素数だけど、とてもよく写る。ただ、1.8型の液晶モニターは老眼には辛いし、SDカードも2GBまでの容量までしか使えない。フルサイズじゃないしね。かなり無理をしてけっこう仕事の撮影にも引っ張りだしてきたのであるが、仕事は効率重視だから私事の楽しみのような撮影方法はとることができない。だから最近はめっきり出動回数が減った。
 それよりも一眼レフといえどライカはやっぱりメカニカルのライカフレックスSLやR6.2あたりがカメラ的には面白い。いまだにライカR6.2の1/250秒を切った時のシャッターの共鳴音(ユーザーのみが知っていると思うけど、たぶんガバナーの音のようだ)とかに感動していたりするのだが、識者によればR6.2よりもR6のほうが無理がないらしい。なるほどうちのR6.2はたしかに一度シャッターが壊れたなー。このあたりの機種も以前に比べれば、かなり廉価になっているからとてもオススメなんだけどね。
ライカR61.jpg
 来年早々に登場予定のライカMは予想どおりのライブビュー装備だから、ライカRレンズもアダプターで使えてしまう。で、センサーはフルサイズ。なんかEOS MにEFレンズをアダプターでつけた時のヤバさみたいなものを感じるので、これは逝かないといけないような気配が漂っているのだが、はたして仕事でモトがとれるかどうか、いまそればかりを考えているのだけど、MをRにして使ってよいものかどうか、個人的な“精神的整合性”をとることができるのかどうか悩みは尽きない。
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フィルムの未来 [銀塩カメラ]

 先日、ある写真関係のライターさんと酒席で話をしていて、おきまりの「フィルムは大丈夫なのか」という話題になる。
 大丈夫もなにも、ぜんぜん大丈夫じゃないですよ。消費は下げ止まらないし、コダックのフィルム事業もまだ身売り先が決まってないみたいだし。
 でも若い写真作家さんなんかはフィルム使う人もまだいるから、少しはいいんじゃないか、みたいな話も出たけど、そんなことで安心なんかできるわけがない。
 まず、フィルム製造を続けるにあたり、かなりのコストがかかるようになったこと、これはたいへんである。大量生産大量消費を前提に、富士フイルムの工場など、冗談ではなくて戦艦大和みたいな巨大ラインが構築されているわけだから、少量生産にはまったく適していないわけだ。材料などの供給があったとしても、写真化学に詳しいエンジニアも必要であろう。なぜなら、銀や薬品の管理も重要で、カラーフィルムなども出来上がったものをテストして、製品に不具合があれば、調整せねばならない。つまりフィルムは生ものであって、その時々で言い方は悪いがバラつきがあるわけだ。品質管理が実に重要なのである。
 昔はコダックのプロフェッショナルタイプのリバーサルフィルムには、エマルジョンごとに実効感度が赤字で印刷してあったくらいである。それに各ラボではエマルジョンごとの感度と適応する補正フィルターの指示まで発表していたのである。フィルムは生もの、かつハイテク商品なのである。
 いま写真化学を勉強している学生はいるのだろうか、あるいは、富士フイルムのフィルム製造部門に入りたいと思っている人はいるのだろうか。否であろうし、求めてもいないと思う。これは想像だけど、新型フィルムの開発などあり得るわけもなく、既存のフィルム製造を維持管理する人たちも会社の中で傍流というか閑職扱いとなってはいないのだろうか、心配なことこの上ない。
 それに現像やプリントのインフラの問題がある。街中の小さな写真店はずいぶん数が減った。プロラボなどかわいそうなほど減少した。すぐれたデジタルプリンターを入れても、依頼する人がいなければ商売にはならない。
 銀塩写真文化を守るというのは並大抵のことではないのである。先日のエントリーでエフケのフィルム製造撤退話を書いたけど、どうなのだろう。製造機械の不具合だけが撤退の理由なのか。もちろん本当だとしても、製造機械に不具合があれば、機械を新調するなどということは不可能であろう。イギリスのフィルムメーカーのハーマンとかドイツのマコとかでも同様のことが起こってはいないのか。
 正直にいってしまえば、プロの間でもフィルムがなくなっても本当に困るのはごく少数。先に挙げた若き写真家たちと、一部の著名写真作家くらいのもので、他は誰も困りはしないのである。私はもちろん困ります。手もとにある多くの銀塩カメラがそのまま燃えないゴミになるからである。フィルムの存続のために本気で頼りたいのはアマチュアさんたちかもしれない。
 フィルムを使う少数のプロやアマチュアさんだって、今後も消費に貢献することは当然だが、先のライターさんと合意したのは、たとえば将来的にはファンドを作って、フィルムを製造する会社をユーザーが援護射撃するくらいのことをしないと、このままじり貧状態になっていくことは間違いないと思う。
 困るよなーライカM4が不燃ゴミとなったらさ。でもクラシックカメラもいいけど、現役でフィルムカメラを製造しているニコンやキヤノンやマミヤやコシナを本来はもっと応援せねばならんのだよね。あ、ライカもちょぴっと製造していると、アサヒカメラ11月号のフォトキナレポートにはあったっけ。なんか暗くなりそうだぜ。
写真は愛用のフォクトレンダーベッサR4M。
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