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富士フイルムX100S [デジタルカメラ]

 次機種を占うという意味でも、富士フイルムのX100Sはなかなか興味深い存在である。外観的には前機種のX100とさほど変わらないからマイナーチェンジと見られがちだけど、けっこうな実力を秘めていることは、発売前の試作機に触れた段階でも十分に感じとれるものであった。
 個人的に気に入っているマルチハイブリッドビューファインダーの存在だけど、AFのスピードも心地よいしシャッターの感触は優れているし、MF時のデジタルスプリットイメージの搭載は、ちょっと驚きであった。もちろん一番の良さは画像の秀逸さである。
 高画素機では部分拡大して、いかに緻密な描写をするということが話題の中心になったりするけど、個人的には階調再現性、明暗の繋がりのよさと色再現性のほうを注目している。写真的再現性の重視ともいえようか。点像復元処理にしても、これはしてやられた感がある。もちろん各種の画像処理ソフトでも収差補正は可能だが、搭載レンズの各性能に合わせた回折現象を補正するのはすばらしい技術だ。キヤノンのDigital Photo Proffesionalにも同じような機能があるけど、X100Sはカメラ内で完結させてしまおうというものだ。効果はけっこう絶大で、絞り込んでパンフォーカス撮影したい風景写真カメラマンには必ずや武器となるだろう。
 次機種云々ということを先に書いたけれれど、おそらくX100Sに搭載された各種機能がそのままX-Pro1の後継機に採用されるに違いないと踏んでいる。あいかわらず付属ソフトの脆弱さはあるのは不満だが、X-Pro1の後継は、私が勝手につけた愛称“ペケ”とはお気軽に呼べない感じの完成度の高いものになっていることに期待したいなあ。
DSCF2489.jpg

絞り込んでも周囲の木々の緻密な細部描写が失われないのはいい。付属のソフトでも点像復元処理ができればいいのにねえ。X100S 絞りf16 AE AWB ISO200 JPEG
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ライカMモノクローム [デジタルカメラ]

 昨年発売された興味深いカメラの中に「ライカMモノクローム」がある。
そ、デジタルカメラなんだけどモノクロ専用のカメラというなんとも潔いカメラである。センサーは1800万画素のフルサイズセンサー。たしか10年くらい前に、コダックがニコンF5をベースにしたモノクロ専用のデジタル一眼レフを出していたけど、他にはあまり記憶がない。
そんなもの買わなくても撮影する時にモノクロモードに合わせればいいじゃんとか、RAWで撮影して、あとでモノクロ変換すりゃいいじゃないの、という話もあろうが、モノクロ画像に特化しただけあって画像が凄いという評判である。
 私はデジタルカメラに関しては完全なる実用派だから、こうした趣味性の高いアイテムはいまひとつ気に入らなくて、当初は関心も薄かった。もちろんこの対価が90万円コースという衝撃価格ということもあるのだけどね。
 ところが、昨年のある時に酒宴のおり前に座った同業のKさんがたまたまご自身所有のものをお持ちだったので、酔っぱらった冗談でお借りして暗い店内の天井を撮影した。
掲載した写真がそうなんだけど、実は撮影したことをいままで忘れていたのである。
 写真の中身はさておき、ちょっと見てみるかなあという軽い気持ちでモニターで展開して、ムムっという衝撃を受けた。使用したレンズはコシナのフォクトレンダー・ノクトン50ミリF1.5アスフェリカルで、すでに製造が中止されているレンズである。
m-mono1.jpg
 なんか一言でいうと良質の銀塩モノクロプリントを丁寧に複写したような調子である。レンズもフィルムカメラで撮影した時と雰囲気が違い最大能力を出している感があるし、特性がよくわかる。ライカMモノクローム ノクトン50ミリF1.5アスフェリカル 絞りf2 AE JPEG
 
 一瞬、これは仕事で使うにはあまりにも限られるけど借金しても買わねばならんのかなと思わせたくらい。まずいですよねえ。こういうのは。レンズがアポ・ズミクロンM50ミリF2だったら、もっとタイヘンなことになっていたのかしら。
 借金を踏みとどまったのは、プリント出力した時。デフォルトの設定では、モニターで見た時の神憑った調子が出てこないのだ。あたりまえか。もっとも私はプリンターとの相性が悪く、現在使用している某社のものも、また具合が悪い。もちろんプリンターが完全な状態で、なおかつ適正な設定に追い込み、インクや用紙に注意をはらえば凄いのができちゃうんでしょうね、ただ、あまりに良いと無理して買ってしまいそうなので、まだ試していない。
 に、してもである。画素数がなんたらとか鮮鋭性を競う前に「写真的な解釈」で画像を生成していると感じるのがよい。ライカ社には画像の品質保証担当に相当なエキスパートがいるのだろうか。
 ライカ社は中小企業で、実際に何度も潰れかけているのに、こうした“写真”画像の生成に関してもオトナな会社なんじゃないかと思い直した次第である。しかしなんでよいのかがわからない、ということがいちばん不思議ですよね。ま、いずれにせよどうせ買えっこないので、これからトライXの現像をしてみようかなと思っているところである(笑)。
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2012年最後の間違い(笑) [デジタルカメラ]

 昨日の30日ペンタックスK-01が到着。ネットでヤバいくらいに廉価に売られていたから“2012年最後の間違い”を自覚した上でポチッとしてしまった。コンデジ並の価格でしかもレンズキットなのである。中古よりも安いのではと思うくらいの設定だった。安いモデルはカラーリングはホワイト×ブラックしかなった。まあ、イエローよりはいいか。
 正式にはメーカーは発表していないみたいだけど、どうもK-01はすでにディスコンらしいし、在庫処分的な価格崩壊である。
 と、なれば後継機も期待薄だろうなあ。推測だけど、K-01がそこそこ成功すれば次機種は当然EVFとか搭載することになったのだろうね。でもそうなると一眼レフとの差別化がまた難しくなりますよね。それにしてもこの短命さは驚きで、よほど販売が低迷したのだろう。
 キットレンズのDA40ミリF2.8XSは本来はAPS-C専用のデジタル専用設計レンズ。その薄さからパンケーキじゃなくて、巷ではビスケットレンズとか呼ぶらしいが、距離目盛りも絞りリングもないから、どれだけよく写っても個人的には失格なのである。しかし、レンズキットでしか安い設定はなかったので、仕方なく供に購入することに。ま、少しは使うつもりでいるけど、気に入らなければ使わねばよいだけのこと、K-01と供にディスコンになったりして今後は価値が上がったりしてね。知らんけど。
R0012811E.jpg
 K-01は発売から9ヶ月くらいしか経っていないと思うけど、こんなに価格が暴落してしまうと、廉価に入手した嬉しさより、開発や販売やらあらゆる企画に携わった人たちが気の毒である。新企画のデジタルカメラを制作する場合、携わった人は寝食を忘れ、死にものぐるいで仕事をしているはず。
 本来は気に入ったカメラなら本来は発売直後に新品で買うのがスジというものだし、メーカーを応援するにはそのほうがよい。しかし、K-01はレビューなどで何度も使用していたが、何となく躊躇していたのである。
 その理由はこうだ。デザインはマーク・ニューソンとはいえ、全体の印象がすぐにピンとこなかったということもある。Kマウントのダイレクトな直結感を持ちながらも、なにかそのコンセプトが見えてこなかったということもある。小型軽量っていう方向性を押し進めるという感じでもないし、ペンタックスが何をやりたいのかわからなかった。ユーザーはどのあたりを想定していたのだろうか。
 レンズを外してみると、一眼レフのミラーをそのまま取り外しちゃいました、みたいなフトコロの深さというか、巨大(にみえる)空間が空いているのがすごい。
 フランジバックの距離もKマウント規格そのままだから、ボディの厚みはそれなりにある。前面からみると、小顔だってけど、上からみたらデブだったというミスマッチさがいい。
 私は個人的には一部の機種を除けば、マウントアダプター遊びはあまり好みではないので、ミラーレス機になってもアダプターを使用せず、一眼レフのKマウントレンズがダイレクトに装着できることは好みには合う。
 だから、Kマウントの一眼レフをそのままミラーを取り外して、ミラーレス機にしちゃったんだですけど、どうでしょうかね?という開き直りすら感じる姿勢がスキ。どのメーカーも考えつかなかった(考えついても製品化にあたってはどういう意味があるのかと考えたんだろうね)唯一無二のものとして評価するべきかもしれない。近いところでいえばSONYのαマウントのカメラシリーズかもしれないけど、ちょっとカメラとしてのコンセプトが違うからなあ。
 K-01はインターフェースはわかりやすいし、使い勝手も悪くないがキライな点がある。それは貼り革をめくってメディアを入れる時の、あの貼り革のぐにゅぐにゅした柔らかい感じがイヤ。他は目立った問題点はなくて、手にするとけっこう楽しく使えるカメラに仕上がっていることは確かだ。
 ペンタックスのデジタルカメラはK-5645Dを使っている。K-5はさほど使用頻度が多いわけじゃないけど、よくまとまったカメラで後継機もいい。K-01はたしかローパスフィルターも薄めにしてあり、画質もK-5よりもよいとかいう話もある。
 画質はこれまでのレビュー経験からみても、不満はないことは確認済みである。K-01を戦力に加えれば同類の画質ということで全体の稼働率が増すのではないかとも考えたので、暴落価格になったことを機会に戦力に加わっていただいたのだ。そういえばこの3機種、バッテリーやチャージャーも共有できるのはすごい。
 Kマウントは、規格を開放したユニバーサルマウントだから、これまでもリコーやコシナをはじめとして多くのメーカーが参入している。無理にアダプターをつけて規格外レンズを装着し、異種格闘技的に喜ぶよりも、K-01には純然たるKマウントレンズや、せいぜいがM42マウントレンズあたりまでを使って楽しむのが良さそうな気がするのだがどうだろうか。
 K-01にはカメラ内にAF駆動用のモーターを内蔵しているのも偉い。モーターを仕込むんだから大きさや形状に影響は出てくるのは間違いない。古いペンタックスAFレンズも問題なくAFで使用できる。どっかのメーカーみたいに廉価版のモデルはレンズ内モーターのレンズだけを使ってね、でないとAFが動きませんよ、というヘンな縛りがないことは歓迎したい。ペンタックスのボディ内モーターのAF駆動は少々暴力的で、思いっきりモーターの動力で力まかせに動き、合焦点で急ブレークをかけて、ぐぐっと急停止するという感じ。これは私の経験だとZ-1あたりからそのように感じているし、645Dもそういうところがある。
 それにしても、K-01はなぜ売れなかったんでしょうね。不思議ですね。でも冷静にみると売れないかなやっぱり。でもね、けっこう使うと悪くはない。売れなかった原因はリコーペンタの宣伝というか、このカメラの特徴的部分を掌握している人が少なかったからじゃないんですかね。
 でもさ、世界で唯一無二のカメラなんだから欲しくなりません?タイトルにある“間違い”と投稿とはちょっと違うニュアンスになっちゃったけど、面倒だからそのままにしとこ。
では、みなさまよいお年をお迎えください。
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M.ズイコーデジタル17ミリF1.8 [デジタルカメラ]

 ヤマのように仕事の原稿があってブログは放置プレイのままでした。原稿書かずにブログ更新してたらいちおうマズいじゃないですか。
 この年末になってM.ズイコーデジタル17ミリF1.8を入手。とても嬉しい。MF切り替え時にM.ズイコーデジタルED12ミリF2.0と同様、距離目盛りが出現し、適度なトルクのロータリーフィーリングを味わいながらフォーカスを追い込めるし、置きピンや、被写界深度を利用した目測撮影が可能になる。これまではできなかったことばかり。
 35ミリ判換算で34ミリ相当の画角になるから35ミリフリークの私としてはなんとしても所有しなければならないレンズだったのである。17ミリという実焦点距離から考えると、ちょっと絞るだけでパンフォーカスになるので、フルサイズやAPS-C用のレンズよりもフォーカシングに関してはさらに歩留まりのよい撮影が可能になるはずである。おそらくは数のあまり出ない単焦点広角レンズにこうした機能を付加するのは英断だったと思うけれど、画角からすれば間違いなく必要だったレンズである。
 このレンズ、評判はとても良好のようだが、中にはフォーカスリングの切り替えが不要などとのたまうレビューアーがいて驚いた。なんもわかってないね。
 理由は深度が深いし、AFで撮影していると思っていたのに誤って気づかないうちにMFになっていて、フォーカスを外したということらしい。深度が深いから、モニターやファインダーでは気づかなかったと。そういえばM.ズイコーデジタルED12ミリF2.0の時もこうしたヘンなクレームがあったのを聞いたが冗談ではない。これは撮影者が悪いのである。
 MFに切り替わるのがいやなら、テープででも止めておけばよいのだ。
 カメラはフールプルーフが発展したためか、誤操作によってカメラを壊してしまうような事故は皆無になった。けれど、今度はユーザーサイドが甘えてしまい、ちょっとした操作設定のミスをカメラの責任にしてしまうことも少なからずあるらしい。カメラメーカーのサービスステーションで、どうしようもないクレームをつけているところに遭遇したこともあるけど、メーカーはタイヘンですよね。起訴大国の米国じゃないけど、今後は撮影した写真がピンボケだったら、自分の責任ではなくて、カメラのせいにして、最終的にはメーカーを訴える人が出てはこないかと本気で心配しているくらいである。
 このレンズの写りは一級品である。大口径でこのコンパクトさというのはマイクロフォーサーズ規格ならではのもので、描写特性もチカラを出し切っている感じがする。絞りによる性能変動を感じないのは見事で、ケチのつけようもない。間違いなくズームとは異なる写真を制作できるはずである。
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OM-D EM-5より私はペンE-P3のほうが好きですね。カラーリングもボディーに合わせてあるし、一体感がある。フードも金属製。レンズキャップも金属製みたいだけど、これは入手せず。レンズの特性からすればフードキャップが欲しいところ。

 
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なぜフルサイズにこだわるのか [デジタルカメラ]

 アサヒカメラのムックやら、カメラ雑誌のテストでキヤノンEOS6Dを使う機会が増えた。気に入らない箇所は多々あるのだが、次第に欲しくなってきた。理由は単純で小さく軽く、このスペックにしては廉価なほうだから。いや、一番良い点は35ミリフルサイズセンサー搭載カメラであるという特別に“大げさな感じ”が薄れていることかもしれない。
eos6dgaikan.jpg
 フィルムカメラの場合はフラッグシップ機からトイカメラまで、35ミリ判規格というのは同じだったから、仮に使用レンズの性能が同じならば、連写機能云々とか耐久性がどうちゃらとかファインダー視野率がどうたらというスペック以外では、カメラの価格とか階級に関係なく、基本的な写りは同じだ。つまり同じカメラシステム内で、一部のハーフサイズの高速モータードライブカメラなどを除けば、フォーマットが異なるモデルが存在することはない。
 フルサイズは高画質云々、高感度に強いから使いたいという人も多いかもしれないが、本来はフォーマットの異なるサイズのカメラを使う意味とは、アスペクト比の違いとかレンズの焦点距離の違いで写りの雰囲気や描写特性を変えるということにあったはず。画質に関しても、銀塩写真では35ミリ判カメラと4×5判カメラで撮影した写真は画質や雰囲気が異なって当然とされ、画質比べなどは行わなかったし、画質差を云々することは重要なことではなかったはず。
 このへんに私はひっかかりがあって、デジタルカメラになると、なぜ「中判カメラ並み」とか「4×5判の画質を超えた」などと極端な喧伝をするようになるのか意味不明なのである。
 これまでフルサイズセンサーは超高価だったから、仕方なくAPS-Cセンサーでガマンしてね、的な感じが拭えなかったと思う。センサーの価格が低廉になれば、元はフィルム時代のレンズシステムをデジタルでも応用しているシステムカメラならば、フルサイズセンサー搭載カメラをベーシックなモデルとしてもおかしくはないはず。だから最近のフルサイズ一眼レフの低価格化、小型軽量化は当然の方向というものであろう。
 逆にセンサーがフルサイズより小さなフォーサーズとか1インチとか、1.7型サイズとかになると、実焦点距離の短さを応用して、フルサイズカメラとは異なる特性を活かした写真制作ができる。たとえば画角は中望遠だけど、実焦点距離は短いから、少々絞り込むことで被写界深度が深くなる。極端なことをいえば、望遠レンズを使った目測スナップ撮影も可能になるかもしれない。
 もちろんセンサー自体が小さくなれば、カメラボディーやレンズをより小さく、軽くしたり、フルサイズカメラシステムには存在しない大口径のズームレンズ、望遠レンズも設計しやすくなる。でもAPS-C一眼レフの交換レンズは専用の交換レンズにせよ、驚くほど小さいなと感じさせるものが少ないから、なんとなく中途半端な印象になってしまう。
 私のようにまだフィルムカメラをシツコク使用しているような人は、デジタルとのシステム相互乗り入れをしても違和感がないことから、フルサイズセンサーにこだわりたくなってしまう。
 デジタルカメラで写真をはじめた人は、フォーマットサイズの違うカメラが多々あることに関して、どのような意見をお持ちなのか、逆にきいてみたいところ。センサーを自分でクリーニングすることでもしないかぎり、センサーサイズの大きさというのは肉眼で認識できない。やはり画質差なのか。
 しかし、最近のカメラはどのフォーマットだろうが、ベーシックな感度を使い、極端な悪条件下で使用しないかぎりはプリント出力しても、言われるほど大きな画質差は出てこないものだ。プリントをみて、センサーのサイズを言い当てることができる人は稀であろう。
 センサーサイズの違いによる様々なカメラが存在することは、レンズの焦点距離の特性を理解している人にとってはありがたいことなのだ。撮影目的や表現によって、カメラを使い分けることを考えるからである。
 ところが現代はビギナーでも最初っからズームレンズを使用する時代である。というかそれが当然である。このような人たちにレンズの焦点距離による描写特性の違いをわかりやすく説明するのはけっこう難しいような気がするんだけど、どうなんだろう。
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オリンパスE-5をどうする [デジタルカメラ]

 いま発売中のカメラ雑誌12月号各誌では、特集で2012年に登場したカメラの論評座談会とか順位づけが行われているのだが、プロの間でも非常に評判のよいオリンパスOM-D E-M5に投票をしていない私である。
omd001.jpg
 どうも一部ではこれがナゼかと疑問に思われているみたい。前にもたしか書いたけど、この手のものはエンタテインメントの一貫であるから、その時の気分が強く反映されていたりすることをお断りしておきたい。ただ、無責任にやっているわけではないで、この“気分”を少し補足しておくことにする。
 たしかにOM-D EM-5は機能面では優れたカメラであることは間違いなく、画質的にも見事であり、まったく文句もない。だからこそなぜとまた突っ込まれそうだけど、デザインがよく画質に優れ、ユーザーインターフェースがよいから優れたカメラという判断にはならない。  
 ま、ものすごくカンタンに言ってしまうと、手もとにはほぼコンプリートに近い状態の旧来のOMシリーズと交換レンズがあるので、単純にOMがデジタル化されたから、「はいはいそうですか」と素直に従えないからである。私のOMはもちろんすべて現役である。
 言うまでもなくOM-D EM-5はミラーレス機であるから、オリンパスの代表格として君臨した“OM”の名をつけられると、どうも自分的には違和感があるし、こちらにも長年のユーザーという意地というものがある。それに、私はOM-Dが従来のOMに似ているとはとても思えないのである。OM-D E-M5がもし、OMという名前を冠していなかったとしたら、私は間違いなく2台コースで購入していたと思う。
 だったらPENシリーズもそうじゃないのか、という疑問をもたれてしまうかもしれないが、こちらは自分のタイムリーなカメラの歴史の中ではスルーしてきた機種だから、影響力としては小さい。しかし、これも正直に言うと、心の奥底には若干のわだかまりがないわけでもない。オリジナルのPEN Fの凄さも知っているからである。ただ、PENがウケたので次はOMへ、という図式もどうなんでしょうね。まったくワガママで勝手な理屈であるが、ただ、今後はPENのほうへの力の注ぎ方が鈍くなるということだってありえなくはない。
 それと、これは公に書くスペースもなかったから強くは言わなかったからだけど、オリンパスの「一眼レフ」E-5とかE-620にこれまでの間、かなり活躍をしていただいているということもある。
 デカくて重たいカメラはイヤとか、あれだけ大騒ぎしているくせに、なぜE-5を評価するのかといえば、繰り返すが“一眼レフ”という存在そのものを大切にしたいからである。発言に矛盾しているんじゃね。という非難は覚悟の上。
 でも、E-5は理由のある大きさであると思うし、気合いの入り方が違う。それに、驚くほどの超高性能交換レンズ群を用意している。ただ、いまのオリンパスの方向性からみれば、これまでの一眼レフのEシステムを、今後どうするんだという不安がユーザーとして大きくなりはしないか。
 オリンパスの開発陣もE-5を生み出すにあたり相当な苦労をされてきたことは想像に難くない。ま、細かく機能を書いていると長くなってしまうからやめておくけど、もし機会があれば、この問題をどこかの雑誌で語ってみたいものだ。今もなお私はE-5を名機だと考えている。売れないから、はいヤメみたいなことだけにはしていただきたくないものだ。
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最近では必ず持ち出す機種。というわけでもないのだけど、交換レンズの実焦点距離の短さによる特性を活かしたりする場合にはどうしても必要なカメラ。AFの精度も位相差AFの中では優れたほうだと思う。このパンケーキレンズズイコーデジタル25ミリF2.8は優れた性能だ。ただし、距離指標は省略されているのがものすごく残念。
 

最後にひとつだけ言っておきたいのはデジタルカメラも高画素とか高感度画質で大騒ぎする時代は、私的には過ぎてしまったということがある。もちろん、今後も画素数はアップして、相対的な画質の向上も未来永劫、果てしなく続くことだろうし、画質は新しいカメラほど優れているはず。しかし、ここ数年の間に登場してきたカメラは、世間で言われるほど画質的な優劣はなく、使いものにならないカメラなど存在しない。
 言い換えてみると、スペック以外のデザインとかユーザーインターフェースとか、質感とかシャッター音とか、動作感触とか、そしてネーミングなど、スペックとは関係ない“カメラ”本来の道具的な魅力を語れる時代がデジタルカメラでもやっと到来したということだ。私は情緒に流されやすい性分であって、カメラもそうした目で見てしまう。今回はこれが逆の方向に働いたということである。少なくとも私的に使うカメラならば、ネーミングひとつとってもワガママを言ってみたい。いえ、ただのひねくれ者でやせ我慢かも。ただ、自分の予測ではこのガマンも限界にきてOM-D EM-6(?)あたりは逝ってしまいそうな気がするんだけど(笑)。
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EOS KissX6i [デジタルカメラ]

 カメラ雑誌の記事でウケが悪いのはエントリー機のレビューや特集らしい。エントリー機こそ、膨大な数が売れているわけだから、反応はもっとよろしかろうと想像するのだけど、いかにも写真のことなんか興味のない一般の人が使うという廉価な機材(必ずしも安いとは思わないけど)という雰囲気があるので、カメラ雑誌の読者の方は関心を示さないからだろう。ところが、ここのところ私の撮影機材は本日も昨日も一昨日もEOS KissX6iだったりするわけで、事実としては圧倒的に不人気な機材で撮影し禄をいただき、これを食んでいるのである。
 一応私も職業カメラマンでもあるので、EOSでいえばEOS-1DXとか使わないとダメなんだろうが、困ったことにさっぱり食指が動かない。重量級カメラがイヤということもあるけど1DXのスーパーな機能のほとんどを使わないことは目に見えているからである。これではあまりにももったいない。それに一般的な小商い撮影では、ふだん大騒ぎしているフルサイズがどうのという話をしようともあまり思わない。
 つまり、カメラに対する趣味的な話というのはデジタル化して以降、仕事の現場でそれを語ることは大幅に減った。仕事カメラの場合はAF速度とか、精度、レスポンス、堅牢であるということは大事なことなのであるが、ポートレートを主体とする私の仕事では、実はそれほど問題ではないのである。Kiss X6iの前に使い倒したX3でも膨大なシャッター数を切っているはずだけど、故障しらずだった。ただ、しいていえばバッファにもう少し余裕があればよいのになあとは思うけど。
 フォーカスの精度にしても、ミドルクラス以上の一眼レフカメラでは、位相差AFのピント微調整機能(EOSだとマイクロアジャストメントと呼ばれる)が内蔵されていて、位相差AFで使う場合は自分の所有するレンズをカメラに装着して繰り返し撮影して、ピントの状況をみて自分で調整してちょうだいね、ということになっているのだが、このピントの追い込み作業をそれぞれの所有レンズごとに行うにはたいへんホネの折れる作業になると思う。こういう機能はたとえばレンズと一度装着して、最短と無限をそれぞれフォーカシングして自動的にカメラ内でアジャストされるようにはできないものなのだろうか。もちろんEOS KissX6iにはこうした気の効いた機能はない。
 ではKissX6iで大口径レンズ使って、開放絞り値近くでばりっしたピントで撮るのは難しいのではないですか、と云われてしまいそうだが、そういう場合は、潔くライブビューにしてコントラストAF、もしくはライブビュー像を拡大しマニュアルに切り替えて撮影している。言うまでもなくこちらのほうがピント精度は高いのだ。像面位相差使ったハイブリッドAFだから、さぞや駆動速度は速いのだろうと思われるかもしれないけど、遅いですね(きっぱり・笑)。けっこうレンズの性能に依存したりするしさ。でも実用にならないわけではありません。
 だったら、画質が同じEOS Mでいいんでね、と思った人はスルドイ。その通り。だからEOS Mにもおいでいただいたというわけである。
 そういえばなぜ、以前はニコンで大騒ぎしていたのに最近キヤノンなんですか?という質問を最近受けるのだけど、はい、ニコンは“私事”で主にフィルムカメラを使用しております。なぜ“仕事”ではないのかと突っ込まれそうですが、ま、ニコンのフィルム一眼レフ使うとその理由はすぐにわかったりしますよ。それ以上の責めはご容赦ください。そのうちまた気が変わるかもしれんし(笑)。
kiss1.jpg
いちおうEF40ミリF2.8 STMとかも導入してみた。AFはまあまあ速いしよく写ります。でも距離指標がないので、いまひとつ本気で使う気がしないんだよね。
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続ニコンD600は買いなのか。 [デジタルカメラ]

 某誌のニッコールレンズレビューの仕事依頼を受けたら、カメラボディにニコンD600がくっついてきた。本来はレンズのことをあれこれ語らねばならないのだが、どうも個人的な興味としてはカメラのほうに目がいってしまう。レンズは現行製品なら、なんであろうがよく写るに決まっているということもある。
 D600を本格的にで使うのは今回ががはじめてだが、印象としてはかなりよい。特別に小さいとも軽量だとも思わないのだけど、さほど手が大きくない私としてはこのくらいがちょうどよい。気に入ったのはシャッターの切れ心地。動作音も大きすぎず、気持ちのよい音色で作動する。レスポンスも悪くないと思う。記録メディアはSDカードだがダブルスロットになっているのも便利である。
 D600は小型だけどDタイプレンズをはじめとするボディ内モーター駆動によるAFレンズにも対応、さらにAi連動ピンを備えているのも評価したい点だが、AF-Sニッコールのみを使うユーザーは、これらの機能は余分な抱き合わせの機能として買わされることになる。FX(フルサイズ)フォーマット対応カメラということであれば、過去のニッコールレンズを機能制約なしにストレスなく使うことができることが、現時点でのニコンの矜持というものなのであろう。
 たぶんボディ内のAFモーターを取り除けば、さらなる小型軽量化をはかることができ、なおかつコストを下げることができるはず。将来的にはAF-Sレンズ専用の廉価で小型軽量のFXフォーマットカメラボディの登場も考えれなくはない。となれば、現時点でフルサイズ一眼レフでもっとも小型軽量とされるキヤノンEOS6Dよりも小型化されるかもしれない。これはキヤノンにとっても脅威だろう。また、画素数を落としたことも小型軽量化の一助に繋がっているのかどうかは素人の私にはわからないけれど、もしそうだとしたら、画素数とカメラサイズのバランスということもいま一度考えてみる必要があるかもしれない。
 3600万画素という脅威の高画素センサー対応で、現時点では他社機を寄せ付けていないニコンD800だが、実際の操作感と大きさと重さ、ファイルサイズの取り回しからみると、D600のほうが全体のバランスがいいなと思うのは私だけだろうか。
 フルサイズがどうのと大騒ぎしているのは最近のことであって、もとはライカを代表とするフォーマットである。つまり、フォーマットサイズからみたコンセプトを考えると、カメラはできるかぎり小型軽量化するのは当然のことである。またD800でファイルサイズの大きさに戸惑いたくない人は、D600を選択するべきだろうし、明らかにこちらのほうが使いやすい。もっとも将来的には3600万画素か、それ以上の超高画素センサーを搭載して、ボディサイズはD600かそれよりも小型化された一眼レフカメラも登場してくるんだろうとは思う。ニコンのことだから。まあ、そんなことを言っているといつまでもカメラは買えなくなるが、D600を選択して、D800を買ったつもりでその差額を高性能の交換レンズ購入に充てるほうが、幸せになれるような気がするんだけどどうでしょうかねえ。
 将来的にデジタル一眼レフのスタンダードフォーマットサイズがフルサイズになるのかどうかはわからないが、少なくとも旧来のフィルムニコンからの愛用者ならD600は、しばらく呑みに行くのを我慢したとしても絶対使ってみたほうがいいカメラだと思うなあ。あ、別にニコンの回しものじゃないですよ、私は(笑)
d600.jpg
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EOS Mがやってきました。 [デジタルカメラ]

 EOS Mを一日早く某カメラ店でフライングゲットした。色は白。人生初の白カメラである。
ようやく登場したキヤノン初のミラーレスのEOS Mだけど、前評判はよろしくない。機能的には突出してるところがなーんもなく、像面位相差AFも激遅で、画質もEOS KissX6iとおんなじじゃんということが理由らしい。
 富士フイルムのペケプロ1が最初から完成型を目指したのに対して、真逆にあるわけである。ペケの場合は逆にファインダーを省略したペケイーワン(X-E1)を出している。まあ、これこれでひとつの方向だとは思うし間違ってはいないが、息の長いシステム構築を考えると、廉価機から積み上げていったほうが楽そうである。キヤノンがいきなりフラッグシップ機を出してきたのは、大昔のキヤノンフレックスとか、キヤノンF-1くらいじゃないのかな。
 キヤノンは最初はなーんにもついていないEOS Mを出しておいて、世間の動向とか評判とかをみて、機能的に積み上げてゆこうという作戦ではないか。さっさと高機能ミラーレス機なんか作って、超売れ筋一眼レフであるEOS KissX6iが売れなくなったりしたら困るのである。そういった意味でも、機能を抑え、望遠ズームレンズも用意せず、ストロボもファインダーも内蔵しなかったのだろう。ただ、キヤノンの力をもってすれば、いざ、世の中がカメラといえばミラーレスだぜという状況になったときには、フラッグシップ機なんかをすぐに作ってきそうだ。あるいは試作機なんかはもうあるかもしれない。
 まあ、キヤノンのカメラって、装置としてのカメラにあまり熱くならない冷静で優秀なエンジニアが、一歩引いたところで作っているような感じもするのだけど、ほんとのところはどうなんでしょうね。
 これでいいんですよ。このクソ景気の悪い状況であるから、こちらとしても小商いが多く、単独でロケに行かねばならないことも珍しくない。機材は小型で軽いにこしたことはなく、EFレンズもアダプターで使えるとならばかなりの戦力になるはずである。べつに動きの速いスポーツを撮るわけでもないし、大口径レンズを使う場合は、静止しているものなら、一眼レフの位相差AFより確実なフォーカシングが出来たりする。
 ただ、私の場合はデジカメはほぼ完全な仕事カメラなので費用対効果は考えている。すべての機種をちゃんと仕事にも使うつもりである。でも、エラい人とか、著名な俳優さんなんかを撮る時はライブビュー撮影では、世間体がよろしくないという場合もある。もちろん対策は考えている。その場合には適当な単独ファインダーをつけて覗いているようなフリをして撮ればいいわけ。あ、やっぱりこういう時の場合を考えて、ボディカラーは白じゃまずかったかな(笑)。
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フルサイズ [デジタルカメラ]

 ライカMがフォトキナでお披露目になって話題である。キヤノンEOS6Dも発表になった。ニコンのD600とソニーのα99も出たから、フルサイズカメラが世間一般に認知され広まるきっかけとなろう。個人的にはたいへん喜ばしいが、デジタルカメラから出発した人は何がありがたいのだか理解できないらしい。個々のカメラは機会があれば論評したいと思うけど、まあ20日発売のカメラ雑誌にも書いたし、今回はフルサイズ話を少し。
 ライカだってニコンだって、キヤノンだって、ソニーのαだってフィルムカメラシステムを応用して発展してきたわけだから、私に言わせればフルサイズセンサーなのが当然である。だから、APS-Cセンサーのカメラは使うけど、交換レンズはぜんぶフルサイズ用を使う。フルサイズとマウントは同一なのにAPS-C用レンズを別に用意しちゃうというのはなんか面白くない。キヤノンEF-Sレンズなんかはフルサイズ機に使えないので不評らしいが、ニコンみたいにDXレンズをフルサイズ機に使うとクロップされるというのはユーザーには便利なようでいて、それでもなんか潔くない感じがする。
 私は現時点で一眼レフ用のAPS-C用レンズは所有していない。フォーサーズ、マイクロフォーサーズとか、ソニーのNEXはデジタル専用に特化したシステムだから、完全に分けて考えている。そういえばソニーのNEXもAPS-Cセンサーだが、EマウントのフルサイズデジタルビデオカメラVG900が登場した。最初っからAマウントのアダプターを同梱するという変なカメラ(個人的には好き)だ。NEXシステムもフルサイズ化は十分に可能なことがわかったので、これは別の意味で将来が楽しみだ。
 APS-Cセンサーのカメラシステムで唯一本気で使っているのは富士のペケプロ1のみであるが、これはカメラの特性からしても例外とみている。レンズ購入も納得したが、それでも本来ならばフルサイズで行くべき方向のカメラであろう。もしペケプロ1がフルサイズだとしたら、デカいとは非難されなかったはずである。フィルムカメラ時代のシステムの応用という意味ではペンタックスが残っているけど、これはどうすんのかねえ。
 デジタルはネガを見るような実体がなく、フルサイズセンサーのお掃除をする時に観察したところで、そのありがたみは薄いんだよね。しかしですね、こちとら40年近くフルサイズ機を使ってきたわけだから、個々のレンズの特性はだいたいわかる。単焦点レンズでも撮影時、必要とするフレーミングの立ち位置とかがすぐにわかるわけ。
 フルサイズにこだわるのは、フィルムカメラ時代の亡霊をひきづるやつみたいに非難されたことがあるけど、画質の良否の問題じゃないんだよね。亡霊大いにけっこう。こちとらフィルムカメラも現役使用だから生霊とでも言ってほしい。これだと褒められているように聞こえるけどね(笑)。

写真はうちにあるいちばん古いフルサイズ機。しかもミラーレス機(笑)のライカスタンダードですわ。これくらい軽くて小さいのが35ミリフルサイズカメラの本質ということも忘れてはいけないと思うんだよね。

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